Myucroのからだ世界 32

この細胞融合により一つの(一枚の)細胞膜に包まれた中に、複数の細胞核が存在し、細胞質が共有される状態になります。従って、共有化された細胞質には、核、ミトコンドリアなどがそれまでの細胞分だけ存在する訳ですが、内容物が何処かに寄り集まって偏在する様な状態にはならない作用が働いています。核については、影響を与える守備範囲が有るとの記述も有ります。

Myoblast からMyotube(筋管)と言う状態になるとの記述が有ります。この状態は筋肉組織を解明する機器(顕微鏡)の精度が低く、観察の際に使用する組織の染色技術も十分ではなかった時代に、観察者にはmyoblast のある一定の集合が管状に見えた、と言う事で名付けられたとの事です。

筋形成に必要な筋原繊維の約20%に相当するmyotubeに、さらにmyoblastが付着する。そのmyotubeが(通常の筋肉の様な運動神経刺激は無しに)縮む無事で、付着していたmyoblast 同士が長軸方向に融合する。その後、縮んでいたmyotubeはリラックス状態になって伸び、そして再度縮む。その時、先ほど融合したmyoblast はmyotubeと一緒に縮むのではなくて、あたかも刈り取られる様にmyotube 表層から剥がれる。こんな感じで残りの80%に相当する将来の筋原繊維になる融合myoblast は最初の20%よりもはるかに効率よく形成される。

なかなか良くできた仕組みだと思いませんか。

最も、こんな事を延々調べる事がbodyworker に必要なのか、とお思いの方がおられるかもしれません。そうかも知れませんが、私はとても楽しく調べています。生体力学(biomechanics)の収縮マシーンとしての筋肉の仕組みのよくある説明を読むよりも、あれこれ寄り道をするこのアプローチの方が「きんにく」がよりも身近に感じられています。

参考資料 :  (主なもののみ)

  • Muscle system  14.2 histogenesis.   Swiss virtual campus of Swiss confederation
  • Myogenesis    University of Guelph animal biosciences
  • Mechanisms of myoblast fusion during muscle development   Ji Hoon Kim
  • Myoblast fusion: When it takes more to make one.   Kate Rochlim他