Myucroのからだ世界 6

B. 真皮 : dermis
真皮は、およそ2㎜の厚さで、乳頭層(papillary dermis 乳頭下層を含む)と網状層(reticular dermis)に区分されていますが、層としての明確な境界がある訳ではなく、徐々にに組成が変化します。なお、表皮(epidermis)から真皮(dermis)までを含めて、皮膚(skin)と呼びます。

乳頭層と網状層の違いは、主として配置された線維の状態によります。一例をあげると、まばらに配置されたコラーゲン線維(collagen fibrils)と細い弾性線維(elastin fibrils)から成る乳頭層。真皮の大部分を占め、太くて強いコラーゲン線維が網の様に絡まりながら規則的に配列し、太くかつ量の多い弾性線維からなる網状層。網状層は下層になるほど線維束の走行方向が平行になる傾向があり、底部に行く程に次第に弾性線維が多くなり皮下組織へと移行します。

真皮の大部分を占める強固な網状層が基底膜と直に接するのではなく、間に乳頭層がはさまる事は、それなりに意味があると思います。乳頭とはちくび状に突起した形状を言いますが、凸凹の山と谷部分が有る形状ですから、平らな平面よりも面積が広くなります。乳頭層は表皮の基底細胞を支える役割を持っている基底膜に接していますから、基底膜と乳頭層は平面より広い範囲で接合する事ができます。乳頭層の質感は真皮の中ではよりソフトですが、面積を広くする事でトータルの結合力は十分に持ち、しかもソフトさで外界の衝撃を吸収すると言う目的を満たします。

この乳頭層について、興味深い記事を日経で見つけました。「加齢で皮膚はがれ出血」と言う表題です。
高齢になると皮膚が破れたり、出血したりするスキンテア(skin tear 皮膚裂傷)が問題になるが、原因は加齢によって皮膚のすぐ下にある乳頭層の凹凸がなくなって、その下の真皮とズレやすくなる事で起こる、との内容です。この様に、乳頭層は外界からの運動刺激やからだを動かす時に起こる、表皮の激しいズレ運動の衝撃を和らげる働きもしている様です。

それでは、真皮についてもっと詳細に見て行きます。
真皮の基本構成要素は、細胞、線維と基質です。また、真皮には血管、リンパ管、神経などが存在しますし、様々な感覚受容体(sensory receptor)が埋め込まれています。体表面につながる毛根や汗腺、皮脂腺も存在するなど、からだに影響を及ぼすたくさんの要素を抱えています。

参考資料 :
Job’s Body. A handbook for bodywork. Deans Juhan
加齢で皮膚はがれ出血 スキンテア 80〜90代で増加 日本経済新聞 2019/04/10記事