Myucroのからだ世界 5

基底細胞はその下の基底膜により補強されています。上皮は基底膜を間に挟んで、凸凹した真皮部分と強固に結合しているので、外部から強い力が加えられても体表面が剥がれる様な事は起こりません。

基底膜 : basal membrane
上部にある基底細胞から供給される、細胞外マトリクス(extracellular matrix 線維と間質液)がシート状になって基底膜を構成しています。厚さは、0.00001cm (0.1μmマイクロメートル)で、極めて薄いのですが、いくつかの役割が有ります。

コラーゲン線維が網目状立体的に繋がりあったネットワーク層で、細胞間物質の少ない上皮組織を支えると同時に、下層の真皮のコラーゲン線維としっかりと絡み合っています。立体網目構造は容易に変形する事で外部からの力や、からだを動かす動作の過程で起こる力学的伸縮や応力(外部の力に応じて物体の内部に生ずる抵抗力)を減衰させる事ができます。

また、真皮にある毛細血管と基底細胞との間の酸素、栄養素や老廃物の交換をサポートします。基底細胞は基底層経由で酸素や栄養素を毛細血管から受取って増殖すると、その後は栄養補給を絶たれる状態を前提として、有棘層、顆粒層へと押し出されて、最後に角質層に至って死滅する運命を元々持っている事になります。そして、外界に近づくに従って細胞の状況が変わり、その各々の状態で最適な役割を果たします。

例えば、細胞としての最後を迎える角質層ですが、決してただ細胞が死滅しているだけの状態ではなくて、外界からの異物の侵入を防ぎ、細胞間の脂質によりからだからの水分(太古の海が細胞を慈しむ様な環境)の蒸発を防ぐ役割を果たしています。

もう一つ注目すべき事は、基底細胞は活発に分裂するのですが、基底膜側(からだの深部側)には細胞は増殖していない事です。常に基底膜とは反対側、すなわち外に向かって細胞は増殖し有棘層、顆粒層を経て角質層に至りますので、基底膜には増殖の方向を制御する能力のある事が考えられます。(極性の存在)

参考資料 :
Job’s Body. A handbook for bodywork. Deans Juhan
基底膜 ドクターズオーガニック ホームページ
基底膜の構造と機能   持立克身