ウォーキングの科学 10

[P.20] 運動を開始するとき、まず、筋収縮が起こる。その時のエネルギーはどこから供給されるのだろうか。

生命活動そのものにエネルギーが必要で、エネルギーを直接供給する物質がATPである。また、ATP を供給するプロセスは、クレアチンリン酸系、解糖系、好気的代謝系であり、各々特徴が有り、ATPを生成する状況が異なる。ちなみに、ATP1分子が分解してリン酸基が放出される時に発生するエネルギーは、7.6kcalである。

私たちは意識する、しないにかかわらず、呼吸をしている。これは、常に好気的代謝系が働いている事を示す。これは姿勢を保つための動き(運動)や、消化、細胞の入れ替わりなどの基礎代謝に消費される。従って、「運動」とは基礎代謝以上のからだの動きを表す。

基礎代謝以上から100%からだを使う運動(作業)までの、どこで各々のプロセスが起動するのか。これはクレアチンリン酸系、解糖系はどの様な条件で起動するのか、あるいは穏やかな自然呼吸の状態から、多くの酸素を取り込むための激しい呼吸の状況まで、好気的代謝系はどの様に寄与するのか。この辺りが疑問である。