筋小胞体は、筋原線維を取り囲む様にしており、筋収縮と弛緩において重要な役割をするカルシウム・イオン(Ca2+)を貯蔵し、筋形質に放出したり、取り込んだりする事で、筋形質内のカルシウムイオンの濃度調整機能を持つ。
筋細胞内にギッシリ詰まった筋原繊維は、筋形質内のカルシウムイオン濃度に従って、収縮と弛緩を隣の線維との遅れなく行う。特にミオシンフィラメントは複数のアクチンフィラメントとの関係性を損なわないでスライドする事を要求されるので、筋形質内のカルシウムイオン濃度は瞬時に、全く遅れも無く均一になる事が必要です。実にすごい仕組みだと思います。それとも、アクチンとミオシンの各々の組み合わせのスライドに、多少のズレが生じても全体として調整してしまう様な機構があるのでしょうか。
いずれにしても、生体内でその様な緻密な仕組みが正常に稼働するためには、どんな状況においても本来の能力を発揮できる様に恒常性(homeostasis)の維持が求められます。
筋細胞膜は通常の細胞膜と同様に選択的透過などの働きをしますが、筋細胞特有の機能としては運動神経からのシナプス伝達(synaptic transmission)、それを受けたNa+電流による活動電位伝播(action potential propagation)、そして興奮収縮連関(excitation-contraction coupling 生理的に発生する筋収縮時の細胞膜の電気変異から収縮に至るまでの一連のプロセスで、細胞内Ca2+濃度に影響される)などがあります。
実際、筋細胞膜上の活動電位は、膜上に開いたT管(transverse tubules 横行小管)を通じて細胞内の筋小胞体に伝わり、貯蔵されているカルシウム・イオン(Ca2+)を一斉に放出させ、筋原繊維の収縮が行われる。
ここで、筋細胞内の構成要素の物理的な安定ついても一例を記述しておきたい。(細胞骨格構造)
筋原線維のzディスク同士、z ディスクとsarcolemmaのcostamere、zディスクとmitochondria 、zディスクとnucleusなどは、desmin 線維タンパクによって連結されている。これにより外部からのストレスに対応でき安定した構造となる。
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参照資料 :
- 骨格筋における異種細胞間コミュニケーション機構に関する研究 細胞組織生物学研究室
- The importance of extracellular matrix in skeletal muscle development and function Katarzyna grzelkowska-Kowalczyk
- メカノトランスダクション. 細胞生物学用語集 日本細胞生物学会
- Strength at the extracellular matrix – muscle interface. M. D. Grounds他
- Human Physiology – Muscle. Gary Ritchison. Eastern Kentucky University