なお、筋たんぱく(muscle protein)は筋肉を構成するタンパク質の総称で、収縮に直接関与するアクチン(actin)とミオシン(myosin)のほかに、トロポニン(troponin)などの遺伝子発現の調節を担うタンパク群を含みます。
筋たんぱく : (整理)
○アクチン : アクチンはフィラメント形状で細胞の形を決定している。また、細胞質流動と、細胞分裂での収縮に関与している一方、筋細胞ではミオシンと共に筋収縮を担う。
○ミオシン : アクチン繊維上を動くモータータンパク質/構造タンパク質。筋肉おいて筋収縮を起こすが、筋細胞以外でもさまざまな現象に関与する。
○トロポニン : 骨格筋と心筋のカルシウムイオンによる収縮制御において中心的な役割を担う。
さて、筋芽細胞は単核細胞であるが、筋細胞は多核細胞である。従って、筋芽細胞はなんらかの方法でお互いに融合する必要がある。この細胞の融合ですが、参照資料のMechanisms of myoblast fusion during muscle developmentには、キイロショウジョウバエの遺伝子モデルで画期的な発見をしたと記述されている。この論文は2015年に発表されているので、今現在(2019年)においても、筋芽細胞融合(myoblast fusion)プロセスは解明しつくされていないと考えられます。
また、細胞が融合(cel-cell fusion)する事は、筋芽細胞のみの現象ではありません。例えば、受精(精子と卵子の結合)、マクロファージ(macrophage)の食細胞、破骨細胞(osteoclasts)の骨の吸収、などです。筋肉においては単に2つの細胞の結合だけではなく、一定方向(長軸方向)への連続的な融合をして長い筋線維の基礎を構築する訳ですから、かなり複雑なプロセスであろうと思います。詳細な解明が待たれますが、ここではこれ以上の深追いはしません。
参考資料 : (主なもののみ)
- Muscle system 14.2 histogenesis. Swiss virtual campus of Swiss confederation
- Myogenesis University of Guelph animal biosciences
- Mechanisms of myoblast fusion during muscle development Ji Hoon Kim
- Myoblast fusion: When it takes more to make one. Kate Rochlim他