ZERO to ONE 4

第6章
具体的な計画がない場合、人は定石にしたがってさまざまな選択肢を寄せ集めた、ポートフォリオを作る。
あれもこれも中途半端に追いかけて万能選手になるよりも、いちばんいいと思う事を決め、それを実行すべきだ。

偶然の力を過大評価し、計画の大切さを過小評価するよう、子供の頃から刷り込まれてきた。
スタートアップにおいてはインテリジェント・デザインこそ最適だ。
偶然よりもデザインを優先させる。

  • Apple : 新製品を開発し、効果的に販売するための明確な複数年計画を描いて実行した。フォーカス・グループの意見を聞かず、他人の成功を真似ることもなく、入念な計画によって世界を本当に変えられる事を証明。
  • MVP (minimum value product) : 最小努力、最短時間で作った必要最低限の機能を持つ製品。素早くリリースし、フィードバックを得て事業仮説を検証、改良するのが、リーンスタートアップの要諦とする。

未来をランダムだと見る世界では、明確な計画のある企業はかならず過小評価される。

起業は、君が確実にコントロールできる、何よりも大きな試みだ。起業家は人生の手綱を握るだけでなく、小さくても大切な世界の一部を支配する事ができる。

第7章 (主としてベンチャーファンドからの見方)
指数関数(a > 0, a ≠ 1 のとき y = aのx乗 で表される関数)的な成長を軽視してはならない。
分散に極端な偏りが出る80:20の法則(パレートの法則)の様な「べき乗則」(power law)は万物の法則だ。

べき乗則 : ある観測量がパラメータのべき乗(ある数/式を繰り返し何回か掛け合わせたもの)に比例すること

独占企業は、これといった特徴のないライバル会社を100万社集めたよりも大きな価値を取り込む。
巨大地震は小さな地震すべてを合わせたより何倍も強い破壊力を持つ。
ほんの一部の少数派が、はるかに大きな影響を社会に与える。

べき乗則は万物のの法則だ。
僕たちが住んでいるのは正規分布の世界じゃない。僕たちはべき乗則のもとに生きているのだ。

ベンチャーファンドの投資スパンは10年ほど、つまり企業が成長し「出口」を見つけるまでの期間だ。
ほとんどのスタートアップは失敗する。一握りのスタートアップがその他すべてを上回るリターンを叩きだす。
ベンチャーに当てはまるのはべき乗則だ。

重要なのは「何をするか」だ。起業家は自分の得意な事にあくまでも集中すべきだ。それが将来価値を持つかどうかを真剣に考えた方がいい。
あえて起業するなら、かならずべき乗則を心に留めて経営しなければならない。いちばん大切なのは「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」ということだ。

いちばん大切なことはたいてい目の前にはない。それでも、べき乗則の世界では、自分の行動がその曲線のどこにあるのかを真剣に考えないわけにはいかなくなる。