多核筋細胞である骨格筋が、筋芽細胞(myoblast)と言われる単核細胞の融合から生まれる事は分かった。では、からだに動きをあたえる仕組みはどの様に作られるのでしょうか。
最小単位はサルコメア(sarcomere)です。筋芽細胞の融合とはどんな関連があるのでしょう。この辺を理解するためには、筋細胞内物質の相互作用を解明が必要との事です。それに関しては諸説が有るにしても、根底にある共通認識は、
- 筋原線維生成(myofibrillogenesis)は逐次的にプロセスが進む。
- 最初のステップは、細胞の表面、筋細胞膜(sarcolemma)に関連して起こる。
との事です。
筋原線維生成については、How to build a myofibrilに4つの仮説が記載されています。(必要であれば、How to build a myofibrilに各説の概要が有りますので参照してください。)
- Template model
Stress fiber like structure as templates for the assembly of myofibrils.
- Independent subunit assembly
Assembly in which the actin filaments and Z-bands form subunits independently from A-band subunits, with the two subsequently joined together to form a myofibril.
- Premyofibril model of myofibrillogenesi
- Direct assembly of myofibril
Assembly occurring without any intermediary structures
従ってまだ確定説は無い様ですが、この論文の著者は「premyoblast model」説を採用しており、ステップの概略は次の通りです。
- ミオシン(non muscle myosin)、アクチン、アクチニン(muscle α- actinin)の混在。
- 相互関連が周辺域で生まれ始めた、premyofibrilの状態となる : 特徴はα-actininが将来的にz-band の役割となる。論文では、z-bodyと表現。
- z -bodyを中心に近接の構成要素が相互に関連を進める、nascent myofibrilの状態。タイチン(Titian)、ミオシン(muscle myosin)が出現。
- タイチンを起点にしてアクチンフィラメント、より太いミオシンフィラメント、Z帯(z band)、M線(M line)の関連が確立。Mature myofibril
[私の理解の範囲でコンパクトにまとめています。]
この論文を含めていくつかの論文を読むと、タイチンの役割を最も評価して良いのではないか、との印象を持ちました。タイチン(titin)は体内では最も大きな鎖を持つタンパク質で、この巨大なタンパク質は筋肉の中で大きな輪ゴムのように働き、筋肉収縮の際に収縮装置全体を適切な形に保っているものです。
アクチンとミオシンのスライドによる、筋の収縮原理については、発表されている多くの資料を参照してください。
参考資料 :
- How to build a myofibril Joseph W. Sanger他
- タイチン PDBjの生体高分子学習ポータルサイト