別荘地 3

土地の整理は何から始めようか。
赤松は幹の太さは15〜30cmで、高さが20m以上はありそうなので対応はパスし、とりあえず雑木を相手にする。その前にフカフカした地面、しかも傾斜と凸凹の土地を歩く事に慣れないといけない。手元にある枝切り用のノコギリは刃渡り30cm程で扱いやすいから、怪我をする心配は無さそう。

今回の作業ではチェーンソーを使おうか迷いました。ガソリン式、電動など有りますが、いずれにしても動力を使う道具は自分の不注意で怪我をする確率が高い。不安定な足元に加えて、危険なチェーンソーはとてもじゃないが今の私には無理、と言う事でノコギリ一丁で作業開始です。まずは、安全第一。

その前に、コンビニでカップ酒を購入して土地に注ぎ、地の神様に作業(地の神から見たら、自分の領分に土足で踏み入り、荒らしまわる行為)の挨拶から始めました。これで事故無く作業はかどる事でしょう。

木を切る作業はやってみると、とても楽しい。誰もいないところで、時々風の音がして、鳥も鳴いている。雑木の幹にノコギリが食い込むたびに、生木の香りがします。木こりになって気分です。多分チェーンソーでササッと切り刻んでいたらこのゆったりマッタリ感覚は味わえないのではないかと思う。

少し太い10cm位の木になると切った後にどの方向に倒れるか、まず確認してから始めます。まず倒れる側を1/3位まで三角に切り取り、そっちに倒れる様に誘導する。反対側の少し上を真っ直ぐ横にノコを入れる。三角の切り口の少し手前でノコを止める。そのまま倒れるのを待つか、軽く押してやる。木はわざと切り残した部分を支点にしてゆっくりと倒れるはずだ。

・・・とまあ、うんぬん。ネットでどの様に木の伐採を行うのかを調べあげて、伐採手順を確認する。ノコが木に食い込まない様に三角のクサビも購入し、それだけで一端の木こりになった気分です。実際のところ、木は真っ直ぐに伸びている訳ではなく、捻れ、あちこちに枝が伸びているので、重心の位置は実に複雑だ。幹を切っていくと切り口から捻れるように倒れかかる。時には、途中でノコギリが食い込み、幹の重みでノコが押さえられて引く事も押す事もできない。

あるいは、木の先端が隣の木に倒れかかって枝に引っかかり、斜めのまま止まってしまう。そのままにはしておけない。いつ木が動いて自分の方に倒れるかもしれないし、誰かが敷地に入り込んで、木の下敷きになるかも知れない。そのまま放置して帰れないから、必死で処理方法を考える。切り離されずにわずかにくっついたままの部分を蹴って見る。ある時は、背が届く範囲の高い位置で、下側に三角の切れ込みを入れ、上側からノコを入れて切り進む。不意にそこから木が折れてドドッと下がり始め、木がかりが解消した事もある。本職はこんな事決してやらないだろうと思いながら、一件落着となった事が数回。

切った幹は直接地面に寝かさず、幸いあちこちにある凸凹の上に腐らない様にして積み上げる。家ができた暁には薪ストーブの良い燃料になるはずだ。幹から切り離した枝や葉っぱ類は別山に積み上げる。さてこれはどう処分しようか。細かく刻んでチップにして、地面に撒くかなどと、これはこれで悩ましい。

地面には自生した細く背の低い雑木がびっしりと生えている。試しに思いっきり引っ張ると、ボリボリと根から持ち上がり、1m位の塊になって抜けた。硬い溶岩上に落ち葉が数十cm積み上がり、そこに根を広げているからの様だ。そうやって背の低い雑木を引き抜き、枝と一緒に積み上げる。

家を建てる前には土地を平らにしなくてはならないが、さて、硬い溶岩の上に積もったこの分厚い腐葉土はどう処置しよう。これも悩みの種で、まだ答えは無い。