ZERO to ONE 7

第11章
ただ作るだけでは買い手はやってこない。
セールスは、本質を変えずに見栄えを変えるための組織的なキャンペーンだ。

最高のプロダクトが勝つとは限らない。何か新しいものを発明しても、それを効果的に販売する方法を創り出せなければ。いいビジネスにはならない。

二つの指標が有効な販売チャネルの条件となる。
A. ひとりの顧客から生涯に得る純利益の平均総額(顧客生涯価値 Customer Lifetime Value CLV)
B. 一人当たりの新規顧客獲得費用の平均(顧客獲得コスト Customer Acquisition Cost CAC)
A > B であるべき。

高額商品を売るには、コンプレックス・セールス (complex sales )を行うしかない。
平均販売単価が7桁を超える場合、すべての案件について隅々まで念入りに一対一の注意を払わなければならない。コンプレックス・セールスは営業マンがいない方がうまくいく。

ほとんどのビジネスはコンプレックス・セールスに適さない。
適切規模の営業チームを使って幅広い客層に商品を売り込むプロセスをどう確立するか。

プロダクト自身がある種の販売を兼ねるケースもある。

個人セールス(営業マンが必要)と従来のの広告宣伝(営業マンはいらない)の間には、デッドゾーンがある。

マーケティングと広告宣伝は、バイラル(viral)な訴追方法のないような一般大衆向けの低価格品に効果がある。

スタートアップでも広告宣伝が効くことはある。ただし、顧客生涯価値と顧客獲得コストを比べてほかのすべての販売チャンネルが割に合わない場合に限る。

プロダクト自体に友人を呼び込みたくなるような機能がある場合、それはバイラルする。
バイラル成長の可能性があるような市場の中で、いちばん重要なセグメント(顧客群)を最初に支配した会社が、市場全体のラストムーバーとなる。

ビジネスの種類によって、効果的な販売手段は異なる。販売も独自のべき乗則に従っている。
いちばんよくある失敗の原因は、ダメなプロダクトではなく下手な営業だ。効果的な販売チャンネルがひとつでも手に入れば、ビジネスは成功する。

企業が売り込むのはプロダクトだけじゃない。経営者は企業そのものを社員や投資家に売り込まなければならない。素晴らしい製品なら自然に売れるという嘘には、「人材」版もある。「資金調達」版もある。いい会社ならPR戦略がなくても賞賛されると思い込んではいけない。