ウォーキングの科学 30

[p.99] なぜ大股で歩くのか。

私の経験からすると、速歩(はやあし)で歩くと、どちらかと言えば歩幅は狭まる。そこで、まず「ゆっくり歩き」と「はやあし歩き」の時のからだの状況を整理する。

  • ゆっくり歩き : 歩幅を狭くしたり、広くとるなどが自由である。歩幅を広くとると、からだのコントラ・ラテラル(contra-lateral 反対側面の共動 )の動きを引き出す。右脚を前に出した時、それに連動して骨盤を介してからだの左側が斜め後方にゆらぎ、肩先が無理なく後ろに引かれる。左右の腕は制約の無い自然な振りで、スムーズなリズムをとる。従って、からだ全体の筋肉(深層部分も表層部分も)が一体となり、しかも右側から左側、左側から右側と、全てが動員される事を感じる。

  • はやあし歩き :からだ全体の筋肉は緊張気味になり、歩幅はどちらかと言えば狭めになる。脚の前面のももとすね部分の意識が強くなり、前に振り出す感覚が強い。骨盤から上は早い脚の動きをサポートする様に、かたまり気味で、腕は空気を強くこぐ様に後ろに強く振られる。肘が伸びた状態で真っ直ぐ伸ばし、指先まで力が入った歩きの方が力強い推進力を感じる。100m走はからだの使い方が違うので、ウオーキングと同等のエクササイズでもウオーキングの延長上にあるものでもないが、サニー・ブラウンのからだの緊張、特に首、肩、腕から指先までの緊張はからだを安定させて前方への推力を産み出す最大の要因であり、上体は腕の振りに負けないように、固定気味となる。

私のインターバル速歩はこの様な状態の交互であり、本書とは少し異なった状況になる。

第2章 完