RE THINK 10

第三部

(P.279) 史的唯物論 : historischer materialisum. 1840年代にマルクスとエンゲルスによって確立された世界観。
歴史の発展の原動力は、社会的生産における物質的生産力とそれに照応する生産関係とからなる社会の経済的構造にあるとする立場。
唯物論 : 自然や物質、身体を世界が構成されるうえで根源的なものとみなし、そのような物質を最高原理とする認識論上の思想。一方、唯心論は観念論は非物質的なものである心や精神を究極のものとする。

(P.280) 近代経済において、金融危機が起こりうるという概念そのものは、はるか昔に死に絶えたと思われたいたアイデアの鮮やかな復活である。ウオール街占拠運動、トマス・ピケテイの不平等に関する著作、ギリシャの急進左派連合の勝利、ジョーズ・ソロスの新経済思想研究所の設立。「私たちが生きる経済社会における際立った欠陥は、完全雇用の提供の失敗と、恣意的で不平等な富と所得の配分である」。

(P.282) ヘルベルト・マルクーゼ 「1次元的人間」経済的自由とは、経済からの自由 – 経済的な力や関係によるコントロールからの、そして日々の生存競争からの、生計を立てる事からの自由を意味する。例 : 無償で生活できるだけの金を全員に与える。2000年代のUniversal basic income の考え。

(P.286) UBIを支持するアメリカのテクノロジー業界の人々 「この先いつか、テクノロジーが伝統的な仕事を廃絶していき、莫大な新しい富が生み出されたら、なんらかの形で国家規模のベーシック・インカムを目にするだろう」
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(P.295) 私たちは再選を何よりも優先する専門家した政治家の時代に生きている。

(P.297) 専門家した統治者の代わりに、普通の立場の人々から無作為にリーダーを選ぶ。陪審員的政府
これは古代アテネの人々がしていた事である。民主主義を発明した当人たちが、くじ引きによって自分たちの政府を選んだ。

【職業化した政治を司る人種に対する提言。実現する可能性はあるのか?】

(P.302) 協力し合う人間の理知の力に無限の信頼をおく事は見当違いかも知れない。だが、そのような信頼がまったく無かったとしたら、私たちは何も成し遂げられなかっただろう。それは不確かだったとしても重要であり有益なアイデアだ。人生の指針とすべき、もう一つのプラシーボのアイデアなのである。

(P.302) 私たちの時代は過去の考えを有効に活用できないほど新奇でも予想がつかない訳でも無いという、別の一面を示している。ジョゼフ・ステイグリッツ 「単に昔聞いたことがあるからと言って、もう一度やってみる必要はないと言う事にはならない」。

(P.305) 時代が変われば、風習も変わる。この古いことわざの人間味のある教えは、時代が未来であっても同じように正しい。私たちの道徳観も、いつか再考されるだろう。 過去の道徳観がそれを経てきたように。優生学など

【本書全体を通じて、当初のイメージ、期待とはだいぶ異なった内容の書物であった。従って、読んで良かったとは言い切れないものがある。一方では、読む事で新たな視点を得た事もあるので、全く無駄とは言えない。】