ウォーキングの科学 21

[P. 42] 持久力トレーニングによる血流量増加

血漿量の増加メカニズムの確認

  • 乳酸閾値以上の強度の運動負荷により、ホルモン(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)が活性化 → 腎臓(副腎)に作用してナトリウムの再吸収を促進するアルドステロンの分泌を促進 → ナトリウムと水を再吸収 → 細胞外液量の増加 → 血漿量の増加
  • 乳酸閾値以上の強度の運動負荷 → アルブミン(血漿タンパク質の一種)の肝臓での合成を促進 → 間質から血管内に水を引き込む → 血漿量の増加
  • 乳酸閾値以上の強度の運動負荷 → 血管の壁を柔らかくする → 血液を貯め易くなる→ 血漿量の増加

*** この節のまとめ ***

乳酸閾値以上の負荷の持久力トレーニングをすると

  • 血液量(血漿量)の増加
  • 一回心拍量の増加

+

  • 筋肉内での酸素利用速度の亢進

最高酸素消費量の増加

一回心拍量が増えると、それだけ多くの血液(言い換えると、運ばれる酸素量)が増えて、各筋細胞が受け取る事のできる酸素量が増え、従って消費量も増える可能性はある。

一方、血漿はからだにとって大切な役割をする点は理解できるが、赤血球の増加ではなく、血漿の増加がどの様に酸素消費量の増加と関連するのかはまだ理解できていない。

なお、「酸素利用速度の亢進」はより激しい運動、すなわちミオシンとアクチンのスライド頻度の増加、と理解する。

– 血漿の整理 : 黄色みを帯びた中性の液体 -

○ 構成要素 :

蛋白質(アルブミン、フィブリノーゲン、免疫グロブリン)・脂質糖類(グルコース)・

無機塩類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、銅、リン等のイオン)・

電解質、ホルモン、ビタミンなど

[構成比: タンパク質(7%)、糖質(0.1%)、脂質(1%)、老廃物、無機塩類(0.9%)、水(91%)]

○ 役割 :

無機質の栄養素、血漿タンパク質(浸透圧や緩衝作用調整)、アミノ酸やホルモン・ビタミン類を細胞に運ぶ。

二酸化炭素、尿素、アンモニアなどの老廃物を肺や腎臓に運ぶ。

多種の血液凝固因子(血液凝固因子は出血を止める重要なタンパク質です。)を含み、出血が起きたときに、血小板や赤血球と一緒に頑丈な血栓を作って傷口をふさぐ。