ウォーキングの科学 18

[P.39] 筋ポンプ

P.39図の理解から始める。

{安静立位時}

下肢先端の毛細血管にかかる動脈の血圧 : 200mmHg とする。

毛細血管内を血液が通り抜ける際の減圧分 : 80mmHg  とする。

とすると、下肢静脈における血圧 : 200 – 80= 120mmHg

一方、右心房の静水圧 : 0mmHg

安静立位における下肢末端での静水圧 : 110mmHg とする。(重力により血液が押し下げられる力)

そうすると、下肢先端での圧差 : 120-110= 10mmHg となり、心臓に向けて血液を押し上げる事になる。

{筋収縮時}

下肢筋肉の収縮による静脈壁を圧した時の静脈圧 :200mmHg とする。 120 + 筋肉収縮の圧=200mmHg

筋肉収縮により、さらに高い圧となり、血液は急速に右心房に押し上げられる。

{筋弛緩直後}

静脈内の逆流防止弁により、押し上げられた血液は元には戻らない。

従って、弁と弁の間に残った血液は弁近辺に一部が残るのみで、下肢静脈には血液は無くなる。

安静立位における下肢末端での静水圧 : 110mmHg   0mmHg

下肢先端の毛細血管にかかる動脈の血圧は、相変わらず200mmHgのため、毛細血管内を血液が通り抜ける際の減圧分を考慮しても、静脈内には高い圧の血液が新たに流入する。

この時の下肢静脈における血圧差は200 – 0=200mmHgで、血液が静脈内に再度充満する。

静脈内に血液が充満した時の自重による下げ圧は110mmHgとなり、安静立位の状態に戻る。

筋ポンプ、特にふくらはぎの筋肉の働きが良く知られているが、プロメテウス P.426 に掲載されている下腿部(ふくらはぎ)の断面により、血管(深部静脈)の位置を確認する。

深部血管は内側の脛骨と外側の腓骨の中間、及び後方に位置する。

前脛骨動脈、静脈は前脛骨筋、長母趾伸筋、後脛骨筋、に挟まれる。

後脛骨動脈、静脈は長趾屈筋、後脛骨筋、長拇趾屈筋とヒラメ筋の挟まれる。

さらに、その後方には腓腹筋が存在して、筋収縮時に強い圧を血管にかける。

それらの筋収縮時には、筋腹が膨らんで静脈を圧迫する事で血液を押し出す。

なお、下腿の静脈系は表在静脈(superficial Venezuela)、深部静脈(deep vein)及びそれらを連結する血管(穿通枝または交通枝)より構成されており、連結する血管は歩行時にふくらはぎの筋肉が伸び、縮みする際に静脈にかかる強烈な圧に伴う血液流の調整を行う。

参照資料 :