Holistic and Evolution 1

「ホリズム」(holism)と言う言葉に出会ったのは、ロルフィング学習の2番目のステージであるUNIT-2でした。

これはロルフィングについての5つのキー・ワード(principle/本質 と言います)の一つとして私の前に現れました。ちなみに、それ以外の4つは「adaptability」、「support」、「palintonic balance」、「closure」です。これらは、Ida Rolfが実践してきた施術のエッセンスとして、彼女の亡くなった後に弟子達が抽出したものです。

ところで、IdaはStructural Integration an Unexplored Factor in a More Human Use of Human Beingsの中で、科学の進歩によって詳細に人体についての情報が得られるようになったり、様々な人体の問題の解消テクニック(例えば、Alexander techniqueなど)が開発されているが、いっこうに人々を悩ませている痛みや不具合などを解決できていない状況に対する反省と、あるべき方向性について述べている。

Idaの問題認識は、諸問題に対する科学的アプローチは細分化したある部分にフォーカスし、また部分にフォーカスした結果を寄せ集めて、全体としての人間を解明したとしている点である。Idaは人体模型を例えにあげています。すなはち、胃や腸などを分かりやすく明示しているが、それのバラバラを寄せ集めた全体を人体ですと言っている様に、人間のある側面を取り出し、詳細に吟味する事で人間を解明したと主張している点です。

ただ、Idaは科学のおかげで伝染病の撲滅がなされている事も十分認識しています。

この論文では、「wholeness」(全部そろっていること、一体となっていること)を引用して、自分の主張を補完しています。
The problem, foreseen and examined by Smuts under the name “Wholeness”, the problem of integrating a man – can we solve this?
まさに、”Wholeness”の名のもとにSmutsによって予見され、試された、integrating a manの問題 – 我々は解を得られているか?

Smutsとは、Jan Christian Smuts(ヤン・クリスティアン・スマッツ)の事で、南アフリカおよびイギリス連邦の政治家、軍人、哲学者で、「holism」(部分部分をバラバラに理解していても、システム全体の振る舞いを理解できるものではない)の概念を導入した人です。

参考資料 :
Bethany Ward’s UNIT 2講義資料
Structural Integration an Unexplored Factor in a More Human Use of Human Beings. Ida Rolf
Holistic and Evolution Jan Christiaan Smuts
ホーリズムと進化 J.C.スマッツ 石井光男・片岡洋二・高橋史朗 訳