結合組織 1

WIREDサイトで『人体で最大の「新しい器官」は、なぜいまになって“発見”されたのか』と言う記事を見つけた。

要約すると、今まで結合組織と分類されてきたからだの構成要素には、実は「衝撃緩衝材としての機能」、「細胞が発するシグナルや有害な分子の存在を伝達する役割」、「浮腫やがん細胞の拡散への影響」などの可能性がある事が見出された、との事である。

結合組織は、からだを構成するものなのだが、上皮組織、筋組織、神経組織の3組織以外のその他、と言う位置付をされており、筋膜もその中に含まれる。該当記事には、これまでは単なる結合組織と見なされてきたが、器官に格上げしようとする動きだ、との表現がある。ちなみに、「器官」と言うのは、生物体を構成し、一定の形態をし、特定の生理機能をいとなむ部分である。

ロルファーになじみの有る結合組織に、新たな働きが有る事を示唆される事はとても喜ばしいのだが、腑に落ちない点がある。

まず、特定の生理機能を持たないものが、からだの中に有るのだろうか? 人類の誕生にはいろんな見解がある事は承知しているけれど、例えば初期人類と言われるアウストラロピテクスの存在は今から400万〜300万年前との事である。それから現代にまでの膨大な時間の中でさまざまな進化が行われ、不要な機能、不適切な機能は捨てられて今に至っている私たちのからだに、働きが無いもの、無くても困らないものが本来有るとは思えない。事実、私たちは結合組織、特に筋膜には、ネットワークとしての機能、からだの構造に関わる構造体、スムーズな動きをサポートする機能などがある事を認識している。

強いて言うなら、まだ機能が明確に認識されていない分野がとても多い事が、結合組織の特徴ではないだろうか。

原著Structure and Distribution of an Unrecognized Interstitium in Human Tissuesの1行目に、pCLE provides real-time histologic imaging of human tissues、と書かれている。すなはち、pCLEは人間の組織の今まさにこの瞬間の組織学的画像を提供する、と。これは、死亡した方を解剖してからだを解明する、従来の探求方法では解明しきれない分野がまだまだ有ると言う事、極論すると「生きたからだ」は科学的にはまだ全然解明されていない、と言う事ではないだろうか。

結合組織には、もっと言うと、からだには、未知の部分が満載、だから楽しい!

参照資料 :
WIRED記事 : 4/04/2018付Scientific Reports : volume 8, Article No.4947(2018) published online 27 Mar 2018

pCLE : Confocal laser endomicroscopy. プローグ型共焦点レーザー内視鏡で、細胞レベルの解像度で病理学的状態の動的な生体内イメージングを提供する。