犬人 ケン・ジン 10

< つづき >

一方、階段を降りる時には、内外共にからだを少し右にズラして一段ずつ慎重に見ながら降りる。若い時の様にスタスタと見もせず感覚で降りる事は無い。段差の大小に関わらず、踏み外しそうになったり、躊躇する時があるし、脚のもつれが見られる。
ソファーやベッドに上がってそこで横になる事がかっては定番であったが、2年前ぐらい前からしていない。なんだか、この程度はできる、これは無理、と言う判断が有る様に見られる。
従って、手脚の関節の動きには問題が有ると言うよりも、感覚中心で行っていた事がしずらくなっている様である。プロプリオセプション(proprioception 固有感覚)の衰退と自分の感覚の範囲が体外のどこまで及ぶかと言うゾーン感覚の衰退が主たる理由では無いだろうか。

内臓機能。
大便の柔らかさ硬さと頻度を見る限り、胃腸には問題は無いように思う。小便は以前より頻繁になったが、夕方6時頃より翌朝7時位までは我慢できているので、腎臓、膀胱関連は問題ないであろう。

その他。
散歩での匂い嗅ぎとその後のマーカー行為は通常通りで、相変わらず周囲に興味を示している。
聴覚は少し反応が鈍い。
脚の震えは2年程前から出ていたが、マッサージする事で脚の感覚を呼び戻したので、今は起きない。ただし、歩行動作には若々しさは無い。
座るまでにグルグル回りで円を描く時間が長くなってきた様に思う。以前の様にサッと座らない(座れない)。
何もなくても、多分に気晴らしで庭に出ることが多くなった。

意欲。
散歩は大好きで、誘うと目付きが違う。お気に入りのコースを歩く事は以前程では無いにしても、大好きで途中であちこちの匂いを嗅ぎまくり、マーカーをする行為も健在。
食事は2度とも完食で、好物のリンゴや柿は出されるのを待ち構えているくらいです。我々の食事中には、食べ物をよこせと催促する。この点では1年程前に比べると、積極さが戻った様に感じます。

さて、改めて思う。「老いる」と言う事はどう言う事なのか。

筋肉を使い関節を動かす肉体の機能と、周囲の状況や自分の肉体の状況を感じる能力について考えると、感じる能力の低下の方が、「老い」により影響を与えているのではないだろうか。

それと、免疫力。