犬人 ケン・ジン 7

昨日、散歩していた時に猫と出会いました。いつもだと、とっくに気がついている距離です。

彼は草むらの匂いを嗅ぐのに注意が向いている様です。どこまで近ずいたら気がつくのだろうと、興味が有りましたので、するままにしておきました。結局、気がついたのは1m半程に距離が狭まった頃です。

昔は、と言ってもさほどの過去では無いのですが、かなり遠くで見かけただけでも反応していたのに、今日は反応が極端に遅い。

100m以上離れた所で、かなり目立たない場所にいても反応したのは、目で見えていたのか、なんらかの存在を感じていたのだろうか。それとも両方でしょうか。犬の場合は、それ以外にも匂いも有りますし、音であるかもしれません。

目について言うと、数年前に我が家に来られた方から眼球が白くなっている、と言われたことが有りました。気をつけて観ていると、そう言えば白濁している様に見えます。歳をとった犬にしばしば見られる白内障を疑いました。ネットで調べると遺伝的になり易い種類が有るとの事で、柴犬が含まれています。出自は分からないのですが、柴の雑種では無いかと思っていますので、気になりました。

ところが、しばらくすると白く見えていた部分がなかなっていました。暗いところで目が青く光る事は有りますが、日中の明るい所では普通の目の色です。見間違えとは思えないので、何らかの理由で正常になったのでしょう。試しに物を動かしても、目が追いかけて来るので今は大丈夫そうです。

鼻も問題なさそうです。彼の場合、柴犬より鼻筋(両目の中央から、先端の黒く湿り気のある部分まで: 私の定義です)が長いので、嗅覚神経の分布範囲は元々広いと思います。食事時には匂いを嗅いでいますし、散歩中に匂いを嗅ぎまくっているのが日課にですので、大丈夫でしょう。

耳はどうだろうか。近頃、彼が2階に居て私が1階から散歩に誘っても、反応しない時が有りますから、聞こえずらいのかも知れない。ただ、これも一概に耳が聞こえる、聞こえないと言う機能の問題ではなく、聞こえていてもそれを次の行動に結び付けない、あるいは結び付かない要因が有るのかも知れません。

見えると言えば、こんな事が有ります。家の階段に対する反応と、散歩途中の階段での反応の違いです。家の階段は登る時に躊躇して、さてこれから一仕事と言った風情ですが、散歩途中の階段ではそんな緊張感は有りません。私が考えるに、犬の目線ですが、目の前に立ち上がり壁の様に思える家の階段と、勾配が緩やかで視界の全てを遮らない散歩途中の階段の違い。

少し前には、どおって事の無かった事が、少しずつ重荷になってきたのでしょうか。からだの機能にさほどの違いが無くても、何かしらの緩さが有る。

老いる、とはこう言う事なのか。