口腔 3

朝は、まず口腔の清掃で始まります。

上下の唇と歯茎の間、上下の歯を軽く開けて噛み合わせ部分を同時に、上の歯の内側、口蓋(歯の付け根から喉の入り口まで)、
下の歯の内側、歯茎と舌の付け根のくぼみから舌の下側、舌の上側、を軽くなぞる。
口蓋の横部分に位置する上下の歯茎の合わせ部分、およびその奥と上下。この部分は以外に奥が深い。

こうして、口腔内をなぞっていると、口の中って意外と広く深いな、上と下が繋がっているな、この先はノドに繋がっているな、などと当たり前な事なのですが、改めて実感します。

使用するブラシは、把柄部(握りの部分、ハヘイブ と言うのだそうです。)の先に、柄を取り囲む様にぐるっと円形に植毛された物を使用している。普通の歯ブラシではなぞるのに自由が効かないので、薬局で具合の良さそうなブラシを探しました。

実は、歯磨きではなく、口腔内の清掃をする人と最初に出会ったのは、大学入学後の最初の下宿です。奈良県出身の彼は、竹を薄く削いだ物(ブラシのイメージよりも、ヘラ)で、舌の上側をシゴいていました。そうしないと気持ちが悪いのだそうです。当時は何とも変わった事をする人が居るもんだ、と思った程度でした。

では、口腔清掃をするとどんな良い事があるのでしょうか。
始めたばかりの頃、口腔清掃をして吐き出す唾液はとてもドロッとしていましたが、しばらくすると、吐き出す唾液はサラッとしてきました。それ以外は、舌の上側の色がほんのりピンクになった事でしょうか。その程度、と言えばその程度の事です。

ちなみに、ヒトの唾液には約700種類の細菌が1,000億個程も生息していおり(唾液フローラ)、24時間周期で増減している(概日リズム)との事です。しかも、夜の方が昼よりも数が多いのだそうです。

そんなことで、朝一番の口腔清掃をする訳ですが、この細菌が全て悪事を働くのでは無いようです。それについては、腸内フローラがセロトニンなどの幸せ物質と関連する様に、大切な働きをしている菌も有ると言う事で、要は菌群のバランスを保つという事と理解しています。

ただし、様々な疾病との関連性が認識されているのも事実です。
虫歯、歯周病、動脈硬化症、虚血性心疾患、糖尿病、リウマチなどとの関連が指摘されていますので、口腔内を清潔にしておく事(菌群のバランスを保つ事)は、将来の疾病を予防してる、と位置付けると良いのではないでしょうか。

決して、口の中を無菌の状態にする、という事ではありません。

参考資料 :
ヒトの体内時計と連動して唾液中の細菌も24時間のリズムを刻む 服部正平他研究グループ
口腔細菌がおよぼす全身への影響 小川智久