犬人 ケン・ジン 4

今後の状況については、今回も必ず歩ける様になるであろう、と確信が有りました。それは、自分の好きな散歩コースを歩きたい、との意思表示が有ったからです。

毎日の散歩は、基本的に彼が行きたいルートを歩く事にしています。不思議なことに日々同じルートを選ぶことはほぼ有りません。どこに行くのかは、彼がその時の気分で決めている様です。毎日付き合っていると、私にはそんな風に思えます。

その中にお気に入りの40分程のコースが有り、気分がのったときには右から行ったり、反対の左回りで行ったりします。からだがある程度回復して家の近くを歩き始めると、そのお気に入りのコースの方向に行こうとしますが、途中まで行くと足が止まり、しばらく考えてこちらをチラッと見てから、戻る事になります。行けたいけれど、歩き通せる自信がまだ持てない、と判断した様です。

でも、お気に入りのあのルートを歩きたいと思う気持ちが十分に伝わってきて、必ず回復すると思えましたし、その通りになりました。

今(2018年10月)は 、暑さも和らいで夏の消耗から体力が回復していますので、好きなコースの散歩を楽しんでいます。ただ、やはり衰えの兆しはあります。

例えば、我が家のリビングは2階で、食事のたびごとに階段を上がる事になります。彼の食事は朝、夕の2回ですが、最近は階段を上がる際には、お尻を押す様に要求します。2回目の故障の後でも、2階まで自分で上がって来れた時が有りましたが、ある時モタモタしていたのでチョッとお尻を押してあがらせたら、スッカリあてにしてしまいました。階段を降りる時には1段ずつ確認しながら降りる様に、時には落ちる感じです。以前の軽快な足取りを忘れています。

なのですが、自分が気になる事が有った時などは、チョット苦労しながら自分で上がって来たりする事が有ります。突然、元気な頃に戻る事例はまだ有ります。猫狩りが趣味なのですが、猫を見かけると後ろ脚を踏ん張って、首を立てて口の端がギュッと上げて激しく吠えかかります。この時は、普段のヨロヨロの老犬とは思えない、素早さと勢いです。

そんな状況を見ると、運動能力として脚やからだに不具合が有る様には思えないのです。気分が乗らなかったら動かない、誰かが助けてくれそうだったらそれをアテにする、と言う事ですかね。

元気な時とショボくれている時の差は何だろうと思いますが、明確な目的が有ってそうしたいと思う事、モチベーションを保ち続ける事、の有無ではないでしょうか。