結合組織 3

からだの中で最も身近な存在の一つは、腕や脚にあるモリモリと動く筋肉ですので、私の主題である結合組織と骨格筋の関連を見ていきます。

骨格筋(横紋筋 striated muscle)は、筋細胞(muscle cell or myocyte : 筋線維/ muscle fiberとも言う)と言う収縮性のある細胞より構成される。その集合体が筋線維束(fasciculus)であり、更にその集合体が一般に筋肉(muscle)と言われる。これらの筋線維、筋線維束、筋肉は筋内膜(endomysium)、筋周膜(perimysium)、筋上膜(epimysium)に覆われ、終端は腱に連なり骨に付着する。これら筋内膜、筋周膜、筋上膜、は結合組織で、各々の集合体の形成を助けると共に、集合体ごとの滑らかさとみずみずしさを保証している。筋肉と骨の関係も良好である。筋線維、筋内膜、筋線維束、筋周膜、筋肉、筋上膜、筋膜の間隙にも、ある種の結合組織が存在していると、個人的には想定している。ただし、遺体を解剖する際にはもはや存在は確認できないでしょう。

また、筋内膜には毛細血管が走行しており、各筋細胞とは結合組織を介して酸素と栄養素の補給、二酸化炭素や代謝廃棄物の回収を行う。ちなみに、体内には、37兆個の細胞があると言われているが、その一つひとつが生き生きと活動して初めてトータル(as a whole)としての私達のからだは健康でいられる。

では、これらの結合組織が硬直したらどうなるのであろうか。
例えば、ずっと同じ姿勢をとっている状況はいつでも起こる。その後で、思わず伸びをしたり、からだのその部分を揉んだりしないだろうか。重さを感じたり、ハリ感が有ったり、不愉快であったり、鈍い痛みを感じるかも知れない。これは結合組織が硬直し始めた兆候である。これなどは急性の硬直であるが、長い間同じ姿勢をとっていると、結合組織の硬直は慢性化してしまう。

硬直した結合組織からは、みずみずしさや滑らかさが失われる。筋組織を取り巻いている筋内膜、筋周膜、筋上膜が硬直すると、筋肉そのものが動きづらくなるのは理解して頂けるだろう。筋肉のスルスルとスライドする機能が失われ、硬直感や、触るとシコリが有ったりする。毛細血管と筋細胞の仲介役の機能も低下して、細胞から生き生き感が失われてしまう。

からだのどこかで始まったこの不具合は、徐々に他の部分を巻き込んで、しばらくすると全体に広がる。これは生体補償作用による。

参考資料 :
Structural Integration A contribution to the understanding of stress. Ida P. Rolf
プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系
Connective tissue Orthopaedic medicine online: chapter3
An estimation of the number of cells in the human body. Annals of human biology: Vol 40, No 6